大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和28(あ)829 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

被告人の上告趣意第一点について。

所論は、被告人提出の控訴趣意書にA某を証人として取調べられたき旨記載して

あるから、原審は当然職権によりその取調べを為すべきに拘はらず、これをしなか

つたことは、憲法三七条、三八条に違反するというのであるが、記録によれば所論

A某については原審において弁護人から証人尋問申請がなされたが、原審はその申

請を却下していることがわかる。凡そ控訴審における事実取調の必要の有無は、刑

訴三九三条一項但書の場合を除き裁判所の裁量に委ねられているのであるから、右

但書所定の事由が疏明されなかつた本件においては、原審が所論証人の取調をしな

かつたからといつて憲法に違反するものではないから(昭和二六年(あ)第一四一

八号同年九月六日第一小法廷判決並びに昭和二三年初(れ)第二三〇号同年七月二

九日大法廷判決参照)論旨は理由がない。

同第二点について。

所論は結局第一審判決が証拠に採用している被告人の司法警察員に対する第六回

および第七回各供述調書中の、判示と同旨の供述記載が強制等によりなされたもの

であるから、これを証拠に採用したのは憲法違反であるというに帰するが、記録上

主張のような強制の事実を認めることができない、却て第一審において証人として

取調べた右供述書の作成者であるBの供述によれば被告人の供述は任意になされた

ものであることが認められるのであるから所論違憲の主張はその前提を欠き採るこ

とができない。

同第三点について。

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所論は違憲を云為しているが、その実質は控訴趣意に対する原審の判断に理由不

備があるという訴訟法違反の主張に帰し上告適法の理由にならない。

弁護人有松祐夫の上告趣意について。

論旨は事実誤認の主張であつて、上告適法の理由にあたらない。

なお記録を調べても本件に刑訴四一一条を適用すべき事由あるものとは認められ

ない。

よつて刑訴四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見により主文のとおり

判決する。

昭和二八年五月二九日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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